虫は、夢や希望を抱いて生きているわけではない。ただ生まれ、生き、おそらく多くは鳥に食われたり、僕らの足で何気に踏み潰されたりして死んでいき、それでも残った虫たちは嘆き苦しむでもなく、ただ生き、そして死んでいく。その者が生前何を為し遂げたのかなんて関係なしに、生まれてそして死んでいく。
夏の終わりから夜あれだけやかましく鳴いた虫たちも、冬の訪れ、気温の低下とともにしだいに活動を鈍らせていき、弱っていく。よたよた這ったり、それでもなんとか飛んだり、飛ぼうとしたりという姿が、庭のあちこちで見られる。
(農薬をほとんど使わないのと、草を抜かずに刈るという管理のせいだと思うが、うちの庭は生き物が多い)
最後の一瞬までなんとか生きようとする姿はシンプルで、悩みなど無縁の存在に見える。僕らももともとは、野生のなかでああいう存在だったはずだ。
ただ生き、そして死ぬ。そういう、虫けらのようになりたいと思う今日このごろです。
初出:2014年1月21日
統計データ: Posted by fratdrive — 2016年6月23日(木) 17:05
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