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『終戦史』と日本人論
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作成者:  fratdrive [ 2014年8月10日(日) 09:25 ]
記事の件名:  『終戦史』と日本人論

日本人は勤勉で、働き者。高度経済成長時代はモーレツ社員とか、エコノミックアニマルとか。今だって残業に次ぐ残業だとか過労死だとか、働き過ぎの問題点は指摘され続けていて、だからこそワークライフバランスが叫ばれていたりする。

という、僕らにとってはもはや当然ともいえる日本人観と、先日のサッカー・ブラジルW杯での日本代表チームの「ふがいなさ」には、はなはだしい乖離がある、ように僕は思う。

各試合のスコアも、予選敗退という結果も、もちろんふがいないのだけど、それよりもっとふがいないのは、ファイトする姿勢の欠如だ。チリとか、他の出場国チームの、テレビ画面を通じてでも伝わる、各選手の猛烈なファイトぶりに比べて、日本人選手のファイトのなさといったら。もちろん、個々の局面、個々の選手によっては、ファイトは見えた。長谷部選手などは普段と全く違ったファイトをしていたのがわかった。でもチーム全体でみれば、ファイト感の欠落は歴然たるものだった。

(なんか、妙に「あっさり」しているというか。「俺ひとりでなんとかしてやる!」的な独善感がないというか。そりゃ、日本チームは組織プレーで戦っていこうというコンセプトだったから、独善は困るんだろうけど、個々人の責任に帰すべきことも組織の責任にすりかわってしまったような…)

なぜ、過労死するぐらいに死に物狂いで働くのをデフォルトとする日本人が、肝心な場面でファイトしないのか。

「それと終戦史とどういう関係があるんだ」とのツッコミが予想されるところだが、僕は関係があるように思えてならない。それをまだうまく説明することはできないのだけど。

「日本人論は無意味だ」と、『終戦史』を読んだある先生からご指摘を受けた。それでも僕は、終戦の過程を通じて浮かび上がってくる、いかにも日本人らしい「さま」が、気になってしかたがない。

改めて言うが、日本という国が戦争で負けたことは、有史以来、一度しかない。それが昭和20年のことである。近現代の戦争は総力戦だから、戦争は戦場でだけ起こるわけではない。市民生活も戦争に巻き込まれる。当時の日本は、無条件降伏を求められていた。国として、国民として、生きるか、死ぬか、その瀬戸際にあったのが昭和20年8月の日本だった。いわば国全体が極限状態に追い込まれていたのだ。極限状態に追い込まれると、人はきっと本性をあらわす。それと同様に、当時の日本も(この場合、国家というか、社会というか、集団というか、組織というかはわからないけど)きっと本性をあらわしていたはずである。だから昭和20年の終戦の過程を追うことは、僕らの本性を追うことになる、そう僕は思っている。

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