ただただコツコツと、地道に実直に働き、暮らす。それは美徳だと、少なくともこの日本では思われている。しかし本当にそれは美徳だろうか。いまの時代、そしてこれからの時代、ただコツコツとやっていくだけで、僕らは生きていけるのだろうか。いや、ただコツコツとやっていくだけで許された時代、社会とは何なのだろうか。ぼくらは地球やアジアや日本やこの町に生きる者として、考えるべきことを考え、判断、決断すべきことを判断、決断する、つまり、いろいろなことを責任をもって引き受けることが必要なのではないだろうか。それはただコツコツとやってるだけでは駄目なんじゃないだろうか。ただコツコツとというのは一見美徳に見えて実は引き受けるべき責任を自ら引き受けず他人に任せっぱなしになっているのではないのか。かつての自民長期政権というのは、そういう、自分の頭では何も考えず何も引き受けようともしない無責任な国民がたくさんいたからこそ成立しえたのではなかろうか。それによっていろんな問題がコツコツと肥大化してきて、原発問題というのはそれがただ露呈しただけではないのか。とすれば、ただコツコツとなんて実は犯罪的な行為なのではないのか。
初出:2012年11月26日
|