庭で小さな畑をやっている。たいしたものは作れないけど、いまだと、毎朝、シュンギク、ミツバなんかを収穫して、味噌汁に入れて食べている。シュンギクは間引きをした小さいのを、洗って根っこをとっただけで、味噌汁に浮かべて食べると、苦い風味がおいしい。シュンギクを食べたら次はミツバを味噌汁に入れる。ネギはいまあまり獲れてないけど、たくさん種をまいて育てていて、いずれ食卓にわんさか登場するはずだ。
野菜を育てるには、さまざまな知識や経験、つまりはノウハウが欠かせない。それは、土、肥料、害虫、病気、農薬、時期など、実に多岐にわたり、見よう見まねではじめ、本やネットの情報を参考に、自分の畑の環境にあわせて、日々の手入れをしていく。
その経験から感じることは、農業、農村、農家には、膨大なノウハウの集積がある、ということだ。日々平和に、ただのん気にやっているだけのように見える、何の学もなさそうな、田舎のジイさん、バアさんは、実は、代々受け継いだ、とんでもない経験値を備えた、いわば「農業マスター」なのである。と、言わざるをえない。
対するに、都会で、たとえば恵比寿あたりで、スーツだか 小洒落たファッションだかに身をつつんだ、そいでもってネットから得た情報を得意げに振りまいたりしてるような、素敵な男女たちの、いかに薄っぺらな青二才に見えることか。 ラーメン屋に入ったら店員はなにやらその道に通じたかのような出で立ちでふるまっているが、また、グルメ情報的にはなにやらノウハウぎょうさんつまった珠玉の一杯的な伝えられ方をするが、どうせ何をどう組み合わせるかだけのアレであって、代々の農家に蓄積された、一見してそうは見えないけど、ものすごいノウハウ量とは、じつは雲泥の差のように思える。
(関係ないけど、セルフのラーメン屋ってやったら繁盛しないかな。バイキングやサラダバーみたいに、スープや脂、麺、それにトッピングを数種類並べておいて、麺だけ、ゆで加減調整して、そしたら自分好みのラーメンが作れるじゃん)
…ということを思うに、伝統から切り離され、根無し草のように漂流している僕ら現代人って、存在が軽いよなあ、と思ったりします。消費者的妄想で威張っているけど、内実、空っぽだから。。。
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