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なんで原動機なんだ?

(旧サイト初版日:1999年11月、現サイト転載日:2005年5月19日)

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子どもの頃は、マシンにまったく興味ありませんでした。せいぜい古いテレビを分解するくらい。

大学1年の夏だったと思いますが、はじめてバイクの(といっても125cc)の後ろに乗りました。あの風を切る感覚、というより、アクセルを軽くひねるだけでグッと前に進むあのトルク感、加速感。人力を超えるパワーにしびれました。しかもそれは人間の作ったものであるという感動。エンジンの音。

学生時代はバイクに夢中でした。終電が終わっても、どこにでも行ける。好きな所に行ける。道路ではひとりっきり、死んだら最後。無数の怖い思いをしましたが、幸いに死ぬことはなく、大怪我もしなかった。生きててよかった。

大学を卒業してからはクルマに夢中になりました。好き放題に走るために浦安に引っ越し、仕事もせずにずっと走ってました。メシも、コンビニで買ってクルマで食べるのが幸せでした。

お金がなかったので、修理はほとんど自分でやりました。参考書を片手に、見よう見まねです。たくさん失敗しましたが、業者に出すよりはおおむねマシでした。けっこうひどいめに合いましたから、とくにディーラーには。腕は見かけじゃないのです。

自分が直した(といっても、実質は部品交換なんですが)クルマが走る、それに乗って公道を走る。大がかりな修理のあとにはとくにヒヤヒヤもんですが、ものすごく快感。クルマもバイクも、実物大のプラモデルやラジコンのようなもんです。

だんだん、だだの修理にも飽きてきました。ある程度はちゃんといじれるようになったし、僕は細かいところにしつこくこだわる性格でもないので、症状から内部の状態が推定できるようになると、手の抜きどころもわかってくる。それに、クルマもバイクもあくまで復旧作業にすぎない。

もっと面白いもんはないかいなあ〜と思っていました。もっと楽しくて自由なものが。

たしか最初は、CS放送のスポーツのチャンネルで見ました。アメリカのスプリントカーレース。ひええ、バカなことやってる奴がいるなあと思いました。それから、モーターパラを背負ってローラースケートを履き、公園を走って?いる映像も見ました。笑いました。

ウェブでは、やはりアメリカの、バギー(Dune Buggy)をやってる個人のサイトなどを見ました。本物の荒野を背景にしているバギーの画像にしびれました。こういうレアな奴ら、レアな情報に遭遇できる道具として、インターネットを最初に認識しました。じっさい、パソコンを買って最初に見たのは、バギーとかスプリントカーとかのサイトだったのです。

たまたま通りかかった自動車屋で水陸両用のARGOを見ました。なんじゃこりゃ〜と店にいって、その構造にしびれました。そして新聞の小さな囲み記事に乗った、ハンドメイドのレーシングカーだという「手づくりゼロハンカー」にノックアウトされました。

面白いマシンがたくさんある。ほんとうにたくさんあるのです。いろんなマシンがたくさんある、みな原動機という推進力を使って、過去にいろんな人が夢やアイデアを賭けて作り上げてきたものばかりです。原動機の七変化。それは人力では越えられない、跳躍した世界。機械の紡ぎ出す、夢の世界。

僕は「クルマの作り方」という本を書きたいと思っています。いまでも思っています。メーカーのプロダクトじゃなくて、自分の作ったクルマに自分で乗る。走る。べつにクルマじゃなくたって、いいんです。タイヤでもプロペラでもいいし、姿もなんだっていい。そういうマシンで走るのって、楽しいはず。わくわくするはず。原始の喜びに満ちているはず。

作る喜び、それを奪ってはいけない。生産ラインで働くのは大変だと思うけど、作ることは楽しいことなんだ。乗り物を自分で作るってことは、その楽しさをもっとも体感できるものだと思います。

自作機だけじゃありません、遊園地のバッテリーカーとか、ゴルフカートとかも好きです。だって僕にとっては同じ意味がある。もらってきて、いろいろいじって遊べば楽しい気がする。ゼロから作り上げなくても、それでも充分に楽しいはず。

ほんとうに、幼稚です。うちの子がブロック遊びをしているのと変わらない。幼児返りなのかもしれない。でもまあ、いいじゃないですか。楽しいんだから。

とはいっても、僕はまだ('99年現在)溶接もできない。工作機械もない。これからです。いずれ僕は、原動機に囲まれて楽しい老後を過ごすんだ。がんばるぞお。

で、このサイトは、そういう「僕の好きなマシン」ばかりを扱っています。友人に「たんなるカタログ的ページに感じられるから、お前の気持ちを書いたほうがいいんじゃない?」と言われたので、これを書きました。まあ、でも、カタログでも何でもいいや。

僕にとってネットはこういうマイナーでレアな情報をつなぐメディアだし、それらがネットで出会うことで化学反応を起こすことだってあるかもしれない。いや、それを期待している。僕はとにかく、一般メディアからこぼれ落ちた、これら原動機たちの情報を、丹念に拾ってつなぎ合わせていきたい。全部合わせれば、きっとすごい。

だから、情報持っている人は、どんどんネットにそれを吐き出していってほしいと思っています。

(結局、なんで原動機なんだか、よくわかんないなあ。'99.11記)