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なぜ本を出したがるのだろうか

(初版日:2002年06月26日)

<last updated:

テレビ屋は、本を出したがる。それはなぜか。

インターネットの登場以来、活字の実用的価値は相対的に低下しているのは間違いないといっていいだろう。情報取材にあたるリサーチの現場でも、昔は図書館に通い詰めていたのが、今では机でパソコンとにらめっこでネット検索と、ここ10年の間にスタイルが一変してしまった。メディアミックスと言えば聞こえはいいが、よほどの人気番組は別として、あまり売れるとも思えない。

むしろ、インタの書き起こし等、番組の保有するコンテンツを全部ウェブに載せてしまったほうが、視聴者の利にかなうと思うのだけど。

テレビ屋は、活字への憧れがあるのではないか。コンプレックスがあるのではないか。だから、本を出すことでステイタスを得たいのではないのか。

画面にテロップを連発するのも、ある種、「私は活字になりたい」願望というか、なんか倒錯した欲望を感じるのはボクだけだろうか?

テレビは、動画や音声という、活字にはない高い訴求力を持ったメディアだが、その本質は活字に支えられている。資料はぜんぶ活字だし(テレビは素材にはなるが資料にはならない)、ナレーションもテロップも、原稿は全部活字だ。活字なしには成立しないメディアなのだ。そういうことも、関係しているのかもしれない。