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「産む性」から「消費する性」へ

(初版日:2004年02月28日)

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戦後、女性は大きく変わった。

結婚しなくなった。結婚年齢が高くなった。子どもを作らなくなった。出産年齢が高くなった。産む子どもの数が減った。産んだ子どもに手をかけなくなった。

つまり、女性はヒマになる一方だ。家電の発達によって、女性はなおいっそうヒマになった。 ヒマになった時間を、女性は「自己実現」という名目の生産と消費に費やすようになった。社会進出して経済力を持ち、余ったカネを好きなものに注ぎ込むようになった。家族や子どものためではなく、自分のために。

家族という社会の最小単位をささえる「産む性」から、日本経済の歯車としての「消費する性」へと、女性は変わった。社会より経済。それは、戦後の日本がひたすら目指してきたものに他ならない。日本は、社会を食いつぶしてでも、自らの欲望の充足へと突っ走ってきた。

流れを変えるタイミングはあった。バブル崩壊だ。あの時、立ち止まっていれば。だが、いったん暴走をはじめた欲望の波は止まらない。しかも、バブル絶頂期に若い時期を過ごした女性は、なお一層と消費する性へと今なお走り続けている。そのどうしようもない世代に、ぼくもいる。

いっぽうその間も、田舎で毎日コツコツ野良仕事を続けた女性たちがいる。戦中戦後に若い時期を過ごし、旧き「産む性」のまま、代わりばえのしない農村風景のなかで働きつづけた彼女らは、いま、テレビカメラに映しだされて「お若いですねーその歳にはとても見えないですねー」とほめられる。

自分のためにと欲望の赴くままに消費しつづけた女性たちの老後は、どうなっているんだろうか。そして、彼女らに産み育てられた数少ない子どもたちは、この日本の姿をどう変えていくんだろうか。

心配だなー、老後。