この実験段階のシステムは「ベアトスシステム」と言います。「ベアトス」とはラテン語で「さずかるよりも、より多く与えることに喜びを感じる」という意味だそうで、その命名通り、番組素材の再利用や番組の再放・二次利用のためのシステムです。
以下、私なりの解釈も含めてこのシステムの説明です。
番組制作の流れで言いますと、番組はまず、企画の提案から始まります。提案が通った企画はリサーチ期間に構成表が書かれます。これはリサーチ状況に応じて何度か改定され、ロケ台本となります。このロケ台本が電子化され、サーバーに保存されます。
そしてロケがスタートします。撮影テープはおそらくサーバーにコピーされます。同時に、カットレベルで著作権や肖像権など再利用に必要なデータがテキストでインプットされ、映像素材にリンクします。
おそらく映像素材がサーバーにコピーされた段階で、マスターのほかに編集用のDVと試写用のMPEG1の映像素材が作成されます。編集はノンリニアでDV素材を使って行われますが、それはPD(プログラムディレクターつまり番組ディレクター)が書いた構成表とリンクしていて、PDは自分のPCで構成表を見ながら、その構成表に沿って入れたカットをMPEG1で再生して試写することができ、PCの構成表を変更することでVTR編集していくことができます。
編集アップになればその内容に沿ってマスター素材が編集され、完パケができます。
さらに、完パケとなった番組はもとより、未編集素材もアーカイブに蓄積され(いちおう今もそうなっているんですが)、映像素材は著作権や肖像権(このカットに写っているじいさんの名前と連絡先、など)などのデータとリンクされているので、たやすく再利用(別の番組に素材として使う)や再放送、あるいはビデオ化などに使える、と、そういう仕組みです、たぶん。
私の第一印象は、「こりゃ大変だ」です。だってカットレベルで著作権や肖像権などの情報をまずインプットするってのは、いままでテキトーにやってたぶん、大変です。でも一方では編集作業はラクになるだろうし、再利用も容易で安全。システムを上手に使えば、これまでの半分位の労力で番組が作れるようになる、かもしれません。
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