番組で資料映像をどう使うか
テレビ番組はあくまで新撮=ロケで新たに撮影した映像で構成するのが基本です。でも、過去の事実を説明するときや、コメントバック(ナレーションのバックで流す)、あるいは編集大詰めで構成が大きく変わったがいまさら新撮をとっている時間も余裕もない、というときもあり、資料映像はよく使われます。
ある特定の事件事故現象などを記録した資料映像もありますし、「砂漠の夕暮れで遠景にラクダが歩いている」というようなイメージカットもあります。
未編集素材のありがたさ
放映済みの番組を再利用するのは大変です。テロップやナレーションがかぶっていたり、カットも短く切り詰められていて、使えない部分が多いからです。再利用するには、何にもかぶっていないほうがありがたいですし、のりしろのことを考えると尺にも余裕がほしいものです。
その点、未編集素材はありがたいものです。なにしろ未編集です。新撮なら、カメラマンが撮ってきたまんまの状態で残されています。同じ対象物を、ズームのタイミングや長さを変えながら撮りなおしている映像が何カットもありますので、そのなかから一番使いやすいカットを使うことができます。のりしろもたっぷりあります。
また、未編集素材を見ていると、撮影クルーが現場をどれだけ回り、どれだけ多くのものをカメラに収めているかを知ることができますし、現場全体の臨場感も伝わってきます。カメラは事実の一部を切り取るのだと言われますが、そうは思えません。カメラはすべてを収録するのです。それを編集で切りとって、番組を構成するのです。
NHKの膨大な映像ストックと検索システム
NHKには、これまでに放映された番組、購入した資料映像を含む一部の番組の未編集素材など、膨大な映像資料がストックされ、それらを端末でキーワード検索することができます。詳細情報はテキストで表示され、それをもとにVTRを試写してさらに使う映像を絞ります。
民放には、こんなに膨大でしかも整然とデータベース化されたものはありません。
海外の映像アーカイブのこと
世界各国に、公共・私営の映像アーカイブがあります。
公共の映像アーカイブで代表的なものは、アメリカの国立公文書館です。もちろんここは映像だけではなく、文書なども膨大なストックがあります。検索はいまやウェブでできるようになりました。→こちらをクリック
私営のアーカイブは、たくさんあります。いずれも、料金は非常に高いです。
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