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メディア再分配が逆効果を生むのなら…

いま、日本国内のメディア分布はテレビに極端に偏った構造になっています。たぶん。

メディア分布というのは勝手につけた適当なネーミング。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍、映画、そしてインターネットといろいろある中で、受け手の多さ(全国くまなく老若男女)、それに連動してメディアとしての影響力の強さと、流れ込むカネの多さ。

(テレビと一口に言っても、圧倒的なのは地上波全国放送に限られます)

ふだん作り手として視聴者の数を意識することはありません。見えないから。マスに向けて流すという意識は持っていると思いますが。

かつて国民的人気を誇ったとある番組の立ち上げ期にホームページを担当したことがありました。そのときはまだ国民的人気というほど安定した視聴率ではなかったのですが、番組あてに届くメールの数がハンパではありませんでした。毎晩、通常業務を終えてからせっせせっせと返信を打っていました。多くは再放送の問い合わせなどテンプレ処理できる内容のものでしたが、それでも間に合わず、たしか1千通ぐらいの未処理メールの山になってしまいましたが、あのときばかりは目に見えない視聴者の数を実感できました。貴重な体験でした(どんな番組でもこのように山のようなメールが届くというわけではありません)。

さて、テレビに偏った分布を正そうというか、ぶっちゃけ、「君んとこばっか独り占めしてないでこっちにもよこしてよ」というのがいまの潮流であると思います。利益再分配ですね。

デジタル化の本質は、アナログで使いすぎているテレビの帯域を通信向けに再分配すること(ですよね)。ディレイ(遅延)が発生するために時報はなくなります。これはテレビの、テレビならではのリアルタイム性という特徴を失うことになり、津波速報などで人の命にとって致命的な結果をもたらすことになると思っていますのでぼくは大反対なのですが(津波では1秒が生死を分けます)。

モニターも、ブラウン管のほうがずっと美しいのに液晶というのは、「テレビなんてこんなもんの画質でいいでしょ?」と言われてるような気がして。有機ELの時代にならないかな早くと切に願っております。

このメディア再分配はほんとうに意図したようにうまくいくのでしょうか。ネットだって最重要ソースは結局テレビ。マクドナルドでオバさん2人が「みのさん」の話題で盛り上がっているのと根は一緒。テレビにぶらさがって成立するネット言論界。「旬の焦点」が定まればネットイナゴよろしく、直射日光の虫眼鏡よろしく、一点集中で焼き尽くしてしまいます。

ネット中継だって「ごっこ」、テレビの安直な再現にすぎません。

だから、テレビ自身は一点に集中するのではなく、分散して事象を照らしていくべきだと思うのです。
いわゆる調査報道の重要性は高まる、というか、高めていかないといけないと思います。

それが責務。

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