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ホームページはチラシではない

いろんなヒトから相談を受けるが、相談のベクトルはいっしょ。
ホームページを作りたい。アクセスを増やしたい。売り上げ増につなげたい。

コンテンツ発信支援というのに取り組みたいと思っていたのだが、なんかそれでやる気が萎えてしまっている。とどのところつまり、ホームページをチラシだと思っているのだ、みんな。
チラシを作る。たくさんばら撒けば、多くの人に見てもらえて、客の数も増える。…とまあ、そんな具合に。

それは幻想です。だってホームページはチラシじゃないんだもん。

ホームページ=チラシ幻想の根幹にあるのは、「ホームページは作った側のもの」という発想。たしかに成り立ちからいったら、ごもっとも。でも実際には、ホームページは見る側、利用する側のためにあるもの。情報提供のメリットを享受するのは利用者で、結果として発信者が恩恵にあずかる可能性はあるけれども、それは二次的なことだと思ったほうがいい。

たとえば、ある複合商業施設のサイトがあるとする。そこにアクセスするヒトたちは、けさがた入ったチラシを見たりとか、知り合いから評判を聞いたとか、その施設の存在をあらかじめ知っているヒトたちが大半だろう。サイトをくまなく見ていけば、チラシ以上に詳細な情報が得られる。というよりも、チラシ以上の詳細な情報が得られるようなサイトでなければならない。チラシのようにイメージ画像どんと一発というわけにはいかない。詳細な情報を得た結果、「やっぱ行くのやーめた」という可能性もある。チラシ一枚だったら来てたかもしれない。潜在的な顧客を逃したことになる。それでも、サイトを公開しなければならないし、そこには詳細な情報を掲載しなければならない。だっていまどき、なかったらまずいでしょ。

ホームページは利用者のためにある。お客様サービスセンターのようなものだ。さらにいえば、公共サービス。アクセス増→売り上げ増という単純な図式を期待すると、後悔することになる。

*これは、ホームページ第一次ブームのときすでに明白な結論として出ているはずで、いち早くサイト開設をしていた企業や個人には既知のことだと思う。それと知らずに、淡い期待を抱いてつぎつぎ参入してくる後発組の多くに、どうもこの教訓は生かされていないようだ。オープニングflashがすっかり企業サイトの定番化していることからも、それがうかがえる。大枚はたいてカッチョイイflash込みのサイトができて、そりゃ社長は喜ぶだろうが、向いてる方向が違うって。やがて社長も気がつく。web業界も、いつまでもそんな山師的な商売やってないで、クライアントとの継続的な関係を築ける方向で努力すべきではないかと思うのだが、おそらく、それはテレビ業界と一緒で、web業界は若く未経験なヒトが多くて、どんどん辞めていく一方でどんどん入ってくるので、失敗の教訓やノウハウが継承されていないのではないだろうか。ちゃんとキャリアを積んでる一握りのプロは別として。

以前、ゼロからのホームページ制作マニュアルというのを書きましたので、このへんの話題に興味のある方はどうぞ。

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