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日常のメディア

非日常的なものを美しく見せるとか、事実を正確にfixして後世に伝えるとかは既存のメディアでやればいい。ぼくがプライベートに実現したいのは、日常のメディア。日常的なものをありのまま見せる。不正確な事実をfixしないでみんなに伝える。ぼくらの日常そのままを、ネットに持ち込みたい。ネットで完結してしまう「脳内生産、脳内消費」ではなくて、ぼくらの生きている日常世界にそのままつながりたい。

ずいぶん以前、若いころのことだけど、20歳前後の女の子が何を考えてるかとか知りたくて、知り合いの子をつかまえて、あれこれ聞きまわっていたことがある。たぶんそれはいま考えると、正常な取材活動で、ぼくは何らのアウトプットを出そうとしていたみたいだったが、某マイナーなフリーペーパーに書いた以外には、あまり直接的な実りはなかった。

ある子に言われた。こんなこと馬鹿らしい。ほかにもっと大きな、関心をもつべきことがあるんじゃないかと。歴史とか、社会とか、政治とか、まあそういうこと。でもぼくは、細部にこそ神は宿ると思っていたし、その考えはいまも変わらない。大上段に何かを振りかざすまえに、気にすべきことがあるだろうと。ぼくらの意識の集大成が、世の中なんだから。太平洋戦争の失敗を、当時の政府や軍部、とくに暴走した青年将校らに押し付けるのは簡単だけど、おそらく、あの戦争のバックボーンとなったのは、当時の民衆の意識だったはず。ぼくらの意識が変わらない限り、世の中は変わらないし、ぼくらの意識を正しく認識しなければ、判断を誤ることになると思う。

そんな大げさでなくても、ぼくが興味あるのは、それぞれの土地やそれぞれの立場で暮らす、人々の日常の姿。旅行に行っても、風光明媚な観光スポットではなくて、そこで暮らす人たちに興味が向く。切り取られ、演出を施されたものには残らない、リアルがある。きれいごとばかりじゃなくて。ところ変われば人変わる。生活も違えば価値観も違う。それをひとくくりにしてしまうのは、おそらく、危険だと思う。ぼくらはきっと、お互いの違いをもっと知らなくてはいけないし、そのリアルに接することで、きっと、社会の血行が良くなるんじゃないかと思う。

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