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ネタ帳の整理から見えてくるもの

たまりまくった紙資料の整理をしていた。

もともとがリサーチャーなので、新聞の切り抜きを筆頭にしたアナログ資料の整理は習い性のようなもの。

ふだんは、紙copiという、スクラップソフトとテキストエディターを足して2で割ったようなソフトで、webページからメモから片っ端に保存分類をしてるのだけど、旧来のアナログデータもいまだに捨てがたい。

新聞記事やら雑誌の切り抜きやらをテーマごとに分けたクリアブックに入れているんだけど、これがけっこう面白い。何年かの間に資料の再分類を繰り返しているうち、煮詰まってくる。

そのときは面白いネタだと思って分類したものでも、時間が経つと色あせてしまったりして、それを抜いて別のクリアブックに移し、新規ネタを代わりに入れる。…そうこうしているうちに、「ネタ」のクリアブックの中身が、だんだん濃くなってくる。

ネタには時効性があるものと、時効性がないものとがある。テレビなんかと違って、ネット的には、長い目で見ると、時効性がないもののほうが良いと思っている。時代性を反映したビビットなネタよりも、すこし地味でも、色あせしにくい「丈夫な」ネタがいい。「ロングテール」ってやつかな。こうやっているうちに、瞬発力だけのネタは落ちていき、持久力のあるネタだけが残っていくような気がする。

また、資料の抜き差しを繰り返しているうちに、時系列がばらばらに並んでしまうのも、また面白い。ぱらぱらと眺めていると、思わぬ発見に出会ったりもする。

以前、まだ若かりし頃、とある「名物」TVディレクターの方と仕事をさせていただいたとき、質問をしたことがある。そのディレクターは現代史、というか戦争前後の日本の歴史を追い続けていた。「なんで歴史ばっかり追っているんですか」…そんな意味のことを質問した。ぼくはそれまで情報バラエティ系の仕事とかしかやったことがなかったから。彼は、「歴史には教訓が詰まっているから」というような意味のことを、ぼくに言った。正確には覚えていないけど、つまり、「いま」を追うよりももっと濃厚なエッセンスが歴史にはあるのだという意味にぼくは受け取った。

いま振り返ると、なんつー不届きな質問をしたものだと思うけど、いまさらながら、そのディレクターの言った言葉の深さの一端がすこしわかる、気がする。

いろんな方に教えられ、助けられて、いまがある。若い頃にはちっとも感じなかったものを、このごろ、感じるようになった、かもしれない。

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