私が子どもの頃は気温が30度を超えると「今日は暑いねえ」と言ったものだが、今や最高気温35度、36度も当たり前になった。昔とは暑さの質が変わったのである。
これは今朝(2010年8月8日)、朝日新聞声の欄(9頁)に掲載された“「エアコンは体に悪い」見直そう”という投書。神奈川県藤沢市在住51歳男性から。
こういった話は時々見聞きするのだけど、ほんとだろうか。
と思ったので、気象庁の過去の気象データ
から、埼玉県熊谷の最高気温データを調べてみた。データがある1961年から、去年まで。
確かに最近の最高気温が上がっているような気もするけど、昔も充分暑かった。「最高気温35度、36度も当たり前」なのは変わってないと思う。51歳男性が14歳だった37年前、1973には38.7度の最高気温だったし。男性が住む藤沢ではないけど、横浜では1962年に37.0の最高気温が出ている。
明治時代からの「日平均気温の月平均値」もある。7月・8月の平均気温値も、グラフにはしなかったけど、まあざっと見て25度前後って感じで、少なくとも大幅に上がっているようには見受けられない。
ということで、この男性が書いていることは正しくない。「昔とは暑さの質が変わった」とすれば、気象ではなく、現代の生活環境、たとえば家屋の構造だったり、緑+土からコンクリートに変わったりして、実際の生活で感じる暑さが変わった、ということではないだろうか。