川越の観光用の通りには、観光客がうじゃうじゃ歩いている。あの数そのものが異質だけど、さらに、観光客の顔をみると、ほとんどが埼玉の顔をしてないから(←地方地方に特有の顔があるので)、いっそうに異質に感じる。
もともとあった通りを、誰にでもわかりやすく、「彩度」や「輪郭」をいちだんとアップさせて、非日常な(異常な)劇場空間をこしらえれば、観光客がわんさとやってくる。…というのは、何なのだろう。本当のモノには客を呼ぶ力はなく、過剰な演出を施してやっと客がやってくる、となれば、そうした客は本当のモノになんか興味はなく、ただ一過性のブーム的に、さっと表面をなでて、ああ面白かったねといって去っていく、そうした浮気な客を次々と引き寄せることでしか成立しえないビジネスというのは、金儲けのほかに何か意味があるんだろうか、そんなことでしか成立しえない地域おこしって意味あるんだろうか、そしてマスメディアはこういうくだらない循環構造をますますくだらない構造にすることしかしてなくて、だいたいそんなこと意味あるんだろうか。
最近ラーメンが嫌いなんだけど、これもそうだ。コンビニとか行くと有名ラーメン屋監修のカップ麺とかあって、ラーメン屋名は難しい漢字を使ったりしてて、パッケージにこうるそうなオッサンが難しい顔で腕組みしたりしてて、まあ最近のラーメンてそんな感じなんだけど、で、スープは何時間煮込んだだとかの「ストーリー」が過剰にまぶされてて、それをおいしそうにいただくって構造。しかも、その手の、雑誌やムックに載るような「有名ラーメン屋」には「ラーメンブロガー」的な連中が遠路はるばるやってくる。彼らは時につるんだりしてて、「わざわざ来た」感がただよってて、で何故かニヤニヤしてて、写真撮ったりするんだよなあ。ああそうそう、アイホンとか持ったりしてる若夫婦とかがいて、時代の最先端ヅラをして済ました顔で商品写真撮ったりしてるんだよなあ。…あ、それはラーメンじゃなかったなカキ氷だった。
つまりそういう、商品サービスの提供側と消費側のなんともいえない化かし合いというか、まあ、企業努力で客は金を払って満足かつ売り上げアップという、互いに満足の構造なので、それに文句つけるのも何だって気もするけど、でもひっかかる。
あのニヤニヤ面が、いちばんひっかかる。いやだ。